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2020.06.04
新学期が始まって2か月が経ちました。グローバル・コミュニケーション学部では今年1月に中国で新型コロナウイルスの感染症が急速に拡大した時から、様々な困難と向き合ってきました。まず北京、上海でStudy Abroad(以下SA)中の学生が帰国し、3月末から4月にかけて、アメリカ、カナダ、イギリスでSAを始めたばかりの学生たちの一部も帰国しました。そして、4月からは同志社大学でも感染症予防の観点から、オンライン授業が始まりました。今春10期生を迎え、本学部にとって記念となるはずの年が、このような困難と混乱に満ちたものになるとは、誰もが全く予想していませんでした。
「コミュニケーション」をその名に冠する学部で、対面のコミュニケーションができず、しかも、「グローバル」な学修の場も保障できない――これはまさに危機的状況と言えるでしょう。人気がなく新緑ばかりが眩しい京田辺キャンパスで、私たち教職員は失われてしまった日常の重みを感じています。
けれども、こうしたなかでも、様々な新しい学びが生まれていることに、私たちは日々勇気づけられています。まず、連休中に英語コース2年生の皆さんが1年生に向けて企画した “Almost All about Study Abroad”と題する、テレビ会議システムを使った説明会がありました。SA継続中の学生と一時帰国した学生が力を合わせて、1年生との交流の場を作ってくれました。また、4年生のSeminar Projectでは、LINEやSNS、テレビ会議システムなどを駆使した「テレワーク」で、一度も顔を合わせたことのないクラスメートたちとのプロジェクトが進行中です。さらに、社会で活躍している卒業生の方々からは、教員や学部事務室に数々の激励のメッセージが届いています。このような光景を目のあたりにした時、私たちは10年という月日のなかで、教職員と学生が一体となって創り上げてきた学部の歴史と、新たな歩みへの力を感じるのです。
“It’s no use going back to yesterday, because I was a different person then”とは、19世紀イギリスの児童文学Alice’s Adventures in Wonderlandで、不思議の国に迷い込んだAliceが言うことばです。これを借りるなら, “It’s no use going back to yesterday, because it was a different world then”なのかもしれません。私たちが好むと好まざるにかかわらず、世界は今、大きな変革の時を迎えています。ただ、たとえどのような変化が起きようとも、「コミュニケーション」が人間のもっとも根源的な営みであることには変わりありません。それどころか、分断が加速しつつある世界にあって、人と人とをつなぐグローバルなコミュニケーションは以前にも増して重要になっているのです。
コロナ後の世界に、バラ色の未来を思い描くのは容易ではないかもしれません。けれども、こんな時だからこそ、皆さんにはもう一つのGC、つまりGreat Communicatorとなって明日の世界を生きていくための学びを、そして、明日の世界を築いていくための学びを、大切にしていただきたいと思います。私たち教職員はそんな皆さんの学びを全力で支えていきます。
2020年6月4日
グローバル・コミュニケーション学部長
玉井 史絵