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日本語コース1年次ゼミで「シナリオ日記」の特別講義を開講

2017.10.13

2017年10月9日(月)4講時の「ファースト・イヤー・セミナー2」(日本語コース1年次生対象)の授業において、ゲスト・スピーカーによる講義を開きました。講師は、昨年に引き続き、大阪のシナリオ・センターの武藤哲也氏です。武藤氏はプロのシナリオ作家を育てておられます。今年は異文化理解の講義が始まって第3週目の講義だったため、自分の経験(うれしかったことや嫌だったこと)をシナリオのスタイルで書く「シナリオ日記」を取り上げていただきました。普通の日記は、その日の出来事を自分の感情を交えて書きますが、シナリオ日記では感情には触れず、出来事の場所と時間(柱)、登場人物が言った言葉(セリフ)、登場人物の動作・仕草・状況(ト書)の3つの要素を書きます。

以下は、留学生のシナリオ日記を読まれた武藤先生の全体講評の一部です。

 

はじめてのシナリオで、なおかつ、短時間で考えていただいたにも関わらず、「柱」「ト書」「セリフ」をきちんと書き分けられている方も多く、理解力の高さに驚きました。それぞれ、作者の「目の付けどころ」も感じられ、とても楽しく読ませていただきました。(中略)

シナリオは3つの要素からできていますが、その一番のポイントは、ト書です。ト書には、映像になること、カメラで映せることしか書きません。登場人物の気持ちは画面に映らないから書かないのです。だから、『シナリオ日記』を書くときに、自分の気持ちも相手の気持ちも書くことはないのです。普通の日記なら自分の気持ちをたくさん書いてしまうと思いますが。ここが、単なる日記と『シナリオ日記』の違いです。シナリオには、単に出来事だけが表れるので、客観的に起きたことだけを追うことができます。

そして、書きあがったシナリオを眺めてみると、自然とその時には気づかなかった相手の気持ちや、自分の言葉が相手にどう伝わったのかに気づくことができるのです。

「このセリフを言った時の相手は、どんな気持ちでいったのかな?」
「このセリフを言っている時、目を逸らしていたから、もしかしたら、こういう意味だったのかな」
「私のこのしぐさがきっかけで、相手をイラッとさせてしまったのかな」と。

そのシナリオに触れ、実際に書いてみたことで、みなさんのそうした「人を見る目」がほんの少しでも広がったなら、お伺いさせていただいた甲斐もあると思います。

 

そして、留学生のみなさんからいろいろな感想が寄せられたので、一部を紹介します。

シナリオはあまり見る機会がないとゲストさんが言いましたが、実は何年前に私が好きだったドラマのシナリオをもらったことがあります。「ドラゴン桜」という日本のドラマをリメイクしたドラマでした。撮影所に見学しに行ってプレゼントされました。今回の授業を通じてまたその時が思い出して楽しかったです。

・今日特別な授業で、ゲスト・スピーカーが来てくれて、シナリオを紹介された。実は、高校のとき、ミュージックとアートの授業で簡単なショート映画を作成するというプロジェクトがあった。そこで、シナリオを作ってみたが、インドネシア語で書いたので、あまり大きな問題がなかったと思った。が、やはり日本語で書いたら結構難しいと思った。基本的はインドネシアのシナリオの書き方と日本のは同じですが、ある部分はちょっと違うということが気づいた。例えば、日本のシナリオは人の感情を書いていないが、インドネシアのシナリオは人の感情を書いても書かなくても大丈夫だそうである。

・今日は外部の方から来ていただいて、シナリオを書く方法について学ぶ機会となりました。私は宿題であった自分の嫌だった経験をシナリオで書きました。シナリオで自分の嫌な経験を書いてみると、より客観的にその場面を考え直す機会となりました。ただシナリオを書くだけではなく、シナリオを書くことで日記とは違う考え方を持つようになりました。本当に貴重な経験となりました。お疲れ様でした。

シナリオで書くことで、自分本位の考えや感情を押しつけることなく、いろいろな方向から考えていくことができるようになります。「シナリオ日記」の特別講義を通して、多方面から考えてみるきっかけになれば、講義担当者としてうれしく思います。