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リレーメッセージ

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「世界へ通じる対話力。」をキーワードに教員がさまざまなテーマについて、
それぞれの視点でコラムを執筆します。

第16回(2017年10月16日)中国語コース唐 顥芸助教

外国語を学ぶ方法については、書店に並ぶテキストを見ても、インターネットで検索しても、様々な方法があるように見えます。みなさんもどのように学ぶべきかを悩んだことがあるのではないでしょうか。
今回のテーマは、「ドラマで外国語を勉強してみませんか」というテーマです。
中国語コースの唐顥芸助教が、ドラマを見ることで学ぶ際のポイントについてお話しします。

ドラマで外国語を勉強してみませんか

外国語を勉強するといえば、どのような方法を想像しますか。中学や高校で受ける英語の授業ですか。NHKの語学講座ですか。語学教室に通うことですか。それとも本屋で市販の語学教材を購入し自習することでしょうか。
今回は自分の経験を踏まえて、初級程度の外国語能力を持つ人が、外国のドラマを見て勉強する方法をお勧めしたいと思います。もちろんドラマで勉強するというのは、ただドラマを見ればいいというわけではなく(ましてや吹き替え版を見るのは論外です)、語学の勉強を意識しながら見なければいけません。それでは、ドラマを見て何を勉強できますか、ドラマを見ながらどの部分を意識して勉強すべきでしょうか。以下3つのことを挙げてみます。

一、会話
ドラマでは、様々な状況で交わされる会話の場面を見ることができます。そのために、まず、教科書で勉強した言葉が実際どのような場面で、どのような文脈で、どのように使われるのかを知ることができます。次に、教科書で勉強しなかった状況ではどのような言葉が使われているのかを見ることもできます。
例えば、私が日本語を勉強した時、別れの挨拶は「さようなら」であることを学びました。しかし、日本のドラマを見れば、「さようなら」を使う場面がとても限られています。ドラマを通して、「さようなら」は一体どういうときに使われるのかをまず確認することができます。それから「さようなら」を使わない別れの場面では、どのように挨拶を交わすべきなのかを知ることができます。さらに、別れの場面一つでも、友人に対してと上司に対して使う言葉は異なり、しばらく会えない恋人ともう別れる恋人の間に交わす言葉も違います。このようなことは普段の教科書ではあまり勉強するチャンスがありませんが、ドラマを見れば自然に触れることができます。
このように、ドラマでは会話する人間の関係性と状況を含めて見せてくれますので、様々な場面でどのような言葉、どのように使うかを知ることができます。ドラマを通して、特定の相手と特定の場面でのどのように会話すべきかを学べます。

二、発音
現在、市販の外国語教科書にはたいていCDがついています。CDを聞きながら、教科書に書かれた単語の発音を確認することができます。しかし、話すときは単語を一つ一つ話すわけではなく、いくつもの単語が連なって一つのセンテンスとして話します。単語を繋げて話すときに、どのような発音や声調の変化が現れるのかについて、教科書のCDを聞くだけでは知ることができません。しかし、ドラマでは劇中の人物が普段の会話に近い感じで話しているため、言葉がセンテンスになったときの発音とその変化を聞くことができます。
さらに、録音と違って、ドラマでは人物が言葉を発するときに、その状況に相応しい感情も表現されています。同じ「ありがとう」でも、喜、怒、哀、楽の感情が含まれているときに、声調と抑揚などが異なるでしょう。録音された無味乾燥な「正しい」発音ではなく、ドラマでは感情を乗せて「表現された」発音を知ることができます。その上、発音を勉強するには、耳で聞くだけではなく、実際に発音するときの顔の筋肉の動き、口の開き具合などを目で確認するほうが、よりいっそうそれに近い音を出すことができます。ドラマの同じ箇所を何度もリプレイして、劇中の人物を真似しながら、同じスピードで同じ抑揚で発音の練習をすると、より「実際に使える」発音を勉強することができるでしょう。

三、聞き取り
例えば留学に行くと、ずっとその言語が使われる環境の中にいます。極端に人との関わりを避けなければ、一定の時間が経つにつれ日常生活に使われる会話を問題なく聞き取れるようになるでしょう。しかし、留学に行く前、あるいは留学に行く機会がない場合、ドラマは聞き取りを練習するよい方法となるでしょう。
最初は字幕を見ながら、聞いた言葉の意味を確認して、言っている言葉の原文を考えます。意味を確認できたら、字幕なしで聞くことだけに集中します。何度も繰り返して、耳で言葉を覚えます。だいたい覚えたら、別のドラマを見て、また同じことを繰り返します。そして時間が経ってから、前に見たことのあるドラマをもう一度字幕なしで聞いてみて、どれくらい聞き取れるのかを確認します。一度に聞き取れなかった言葉でも、勉強が進むにつれ、もう一度戻って確認するときに聞き取れることもあります。このように反復することによって聞き取りの練習ができるでしょう。
もう一つ、ドラマで勉強できることがあります。録音やニュースなどの標準化された発音とは異なり、ドラマでは様々な背景を持つ人物がいますので、男女老若の話し方、各種の訛りに影響された発音、さらに方言などを聞くことができます。このような状況も現実の世界に近いので、必要かつ重要な練習といえるでしょう。

以上、外国のドラマを用いて、どのように外国語の勉強ができるのかを話しました。ドラマは様々なジャンルがあります。好きなドラマを探して、ドラマを見ながら楽しく外国語を勉強してみてはいかがでしょうか。