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リレーメッセージ

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「世界へ通じる対話力。」をキーワードに教員がさまざまなテーマについて、
それぞれの視点でコラムを執筆します。

第20回(2021年2月12日)英語コース鈴木 美紀子助教

ちょうど1年前。「教室で授業する」というこれまでの「当たり前」が当たり前でなくなる日がこんなにも急速に訪れるとは誰が予想できたでしょうか?

今回のテーマは英語コースの鈴木 美紀子助教による「コロナ禍の語学授業-オンライン授業を通じて思うこと」です。これまでに経験したことのないイレギュラーな授業形態が混在した2020年度。このニューノーマル初年度を経て、科目担当者としてなにを感じたのか。是非ご覧ください。

コロナ禍の語学授業-オンライン授業を通じて思うこと

2020年度の秋学期が終わり、今年度もあと少しを残すのみという時期に差し掛かっています。本当に予想外の大変な年でした。春学期の全オンライン授業や、秋学期のコロナ対応での対面授業のような、これまでにない新しい形での授業形態は、学生の皆さんにとっても、我々教員にとっても、まず慣れるところから始めなくてはならずに、ストレスは甚大であったと思います。

従来の形態に慣れきっていた私にとっては、かつてない挑戦の連続の一年となりました。インターネットがベースとなるような授業展開の経験がほとんどなかったので、大学や他の先生方のサポートを受けながら、なんとかセットアップに漕ぎつきました。しかしいざ授業時間本番となると、トラブルが起きないか不安が付きまといます。加えて授業準備や問い合わせメール対応で、朝から晩までPCに張り付き、ピンポーンとメール受信の知らせが鳴ればビクッとし、zoomが繋がらないとオロオロと冷や汗が止まりません。当初はそんな毎日に、「早く元に戻ってほしい」と愚痴が口からこぼれ出ていました。

泣き言を言っていてもコロナは消えてくれず、秋学期も継続してコロナ対応をしながら授業をすることになりました。試行錯誤を繰り返し、数をこなします。そうやって次第に慣れてくると、オンライン授業のメリットに目が行くようになりました。ここからは私が担当したクラスから感じた、学生の学習機会や学習効果等について、オンライン授業と従来の対面授業の比較を交えながら述べていきたいと思います。

リーディングに関しては、従来の教室内授業では、本文解説をしながら学生の皆さんに当てて内容理解を確認していたのですが、オンライン授業では、要点をまとめた資料を音声と文字付きで作成してそれを視聴してもらい、最後に内容理解を問う課題の提出を求めました。従来だと数人の回答を確認するに留まっていた練習問題を、課題として全員にオンラインで提出してもらったり、自分の意見を述べる発展的な課題の回答も入力提出するように求めたりしたことで、受け身になりがちなリーディング授業でも、受講者のアウトプットの機会は従来よりも格段に増えました。オンラインでの提出のしやすさも手伝っていたように思います。提出された回答を確認すると概ねしっかりと書かれており、本文の内容把握も良好だった印象を持ちました。

ライティングの授業では、秋学期は対面授業になりながらも、提出物はすべてオンラインにして、フィードバックもワードのコメント機能を利用して返却しました。過去年は紙媒体に赤ペンでコメントを入れていましたが、手書きの小さな字よりもファイル上に書き入れたコメントは見やすかったと思います。コメントを反映させての受講者の書き直しもよく出来ており、以前の印刷物と手書きのコメントを基にした書き直しよりも、すべてPC画面上で行う修正版作成に、効率の良さを感じた人もいたのではないかと思います。また、書き上げたものをそのままメール添付で提出できたり、課題取り組み時に浮かんだ質問を即座に担当教員に送信できたりする利便性は、従来の紙媒体提出や直接質問する際にあり得る煩雑さを回避する、大きなメリットでしょう。

コミュニケーションの授業においては、発言と対話練習に関してzoomは上手く機能しました。もちろん、物理的な距離感を持ちながらのコミュニケーションとは別物という側面はありますが、発話の割合の点ではむしろ、私の従来の授業よりも、zoomでのほうが大きかった印象があります。実際の受講者の感想として、教室内ではなかなかできない発言がブレイクアウトルームだとしやすいとか、会話のタイミングが計りやすく参加がしやすい、という声もありました。発言のしやすさの点で、従来なら飲み込みがちな小さな気づきごとを、チャット機能を利用して伝えてくれる学生も少なからずいました。また、教室内での発言だと席によっては聞き取りにくいことがあっても、zoomであれば自分で音量調節できます。学習言語を聞く、話すという機会は、オンラインでも十分に得られることが分かりました。

その他の点で気づいたのは、オンラインだと通学にかかる時間や手間がなくなるからか、出席・参加も従来の授業の時より概して良かったです。語学力向上に授業参加が必須である点からしても、オンライン授業は有効であったと思います。加えて、PCに向かうことが日常になり、自学自習アプリの利用も促進されたように思います。語学力の伸長に時間外学習は大きな意味を持ちます。語学学習アプリの利用頻度が上がったならば、それはオンライン授業の恩恵かもしれません。

もちろん、物理的にクラスメイトが周りにいるからこそ生まれる学習意欲もありますし、大学生としてキャンパスでしか体験できないことも多くあります。その意味でも、対面授業の必要性は消えないと思います。そんな中、先日教員向け講演会があり、講師の先生がオンライン授業と対面授業のブレンドを提唱されていました。講演の終盤には、コロナが収まったとしても、以前のような授業形態には完全には戻らないであろうこと、そして、学生自身がオンライン授業の継続を望んでいるという調査結果があることをおっしゃいました。恐らくこれを読んでいる学生の皆さんの中にも共感する人がいるでしょう。私同様、テクノロジーの進歩に乗り遅れがちな人も学生の皆さんの中にいるかもしれませんが、どうやらまだしばらくは続くであろうコロナ禍、オンラインでの語学授業のメリットを前向きに捉えて、語学力向上に努めてほしいと思います。新しいスタイルでの語学学習効果は、決して以前より劣るものではないと確信しています。