海外各国からGCへ留学中の学生が、日本での学びをレポート。
日本で出合った新鮮な体験を生き生きと伝えます。
2025.12.10
KBS京都を見学した私は、初めて放送の現場に触れた。その結果、それまで抱いていた放送に対するイメージが大きく変わった。
見学はまず、「放送とSNSの違い」についての説明から始まった。担当者は「SNSは誰でも投稿できる一方、放送は事実に基づいて情報を発信する必要があります」と述べ、放送が信頼性を最優先するメディアであることを強調した。
SNSでは未確認の情報が広がりやすいが、放送では取材・検証・編集・審査といった長い工程を経なければ電波に乗ることはない。さらに、放送局は国家から放送免許を受け、放送事故や不適切な表現について常に点検を受けていると知り、私は放送に対する見方を改めざるを得なかった。
続いてラジオスタジオを見学した。生放送の現場を間近で見るのは初めてだったが、ラジオ特有の自由で温かい雰囲気と同時に、放送中の緊張感も伝わってきた。災害時には停電下でも電池式の受信機では聴取 が可能で、地域住民に最も早く情報を届けられるという説明は特に印象的だった。私は、ラジオが“最後まで残る情報の生命線”になり得るという事実を初めて知った。
テレビスタジオ・副調整室(サブスタジオ)でも多くの発見があった。画面ではアナウンサーしか見えないが、実際には複数のカメラ、照明、音響機材、モニターが整然と並び、多くのスタッフが緊密に連携して番組を作り上げていた。副調整室(サブスタジオ)では映像確認、テロップ作成、音声調整など細かな作業が行われ、放送が完成するまでの労力と緊張感が伝わってきた。
写真:ラジオのディレクター室
そして私は「放送局はお金さえあれば作れるものだ」と思っていたが、実際には放送免許と厳格な基準が必要で、公共性を担保する仕組みが整っていることを知った。テレビやラジオが信頼を得ている理由を、私は初めて“現場で見る形”で理解した。
見学の最後には、案内を担当してくださった担当者との質疑応答が行われた。担当者が見せてくれた番組編成表には、休みの文字はどこにもなかった。日曜も平日も関係なく、早朝から深夜2〜3時まで放送が続く。放送が365日止まらないという事実に、私は放送現場の過酷さを強く感じた。
担当者は「災害が起きれば当然ですが、取材は雨でも雪でも、暑くても寒くても必ず動きます。市民に必要な情報を届けることが私たちの役割です」と語り、その言葉にはプロとしての誇りと強い使命感が込められていた。
写真:放送スタジオ①
写真:放送スタジオ②
見学後に生まれた私の“考え方の変化”
今回の見学を通して、私は、放送が単なる情報提供ではなく、地域の安全と日常を守るための公共サービスであることを深く理解した。SNSと放送の違い、ラジオの重要性、テレビ制作の裏側、放送免許の重み、そして放送に携わる人々の姿勢それらを自分の目で確かめたことで、放送に対する私の認識は大きく変わった。
「放送がなぜ信頼されるのか?」
その答えは、KBS京都の現場にあった。そこには、市民のために働く人々の努力と、揺るぎないプロ精神が息づいていた。
今回の見学は、私に放送の価値と公共性を再認識させる貴重な経験となった。最後に子供の頃「テレビに出てみたいなー」と思っていたが、それが雰囲気だけでも実現できてとても嬉しかった。
日本語コース2年生
キムヒョンミンさん