海外各国からGCへ留学中の学生が、日本での学びをレポート。
日本で出合った新鮮な体験を生き生きと伝えます。
2020.05.25
前回の特集企画①-鈴木先生のインタビューはいかがでしたか? グローバル・コミュニケーション学部日本語コースの理解に少しでもお役に立てればと思います。それでは引き続き、特集企画②ですが、今回のインタビューは脇田先生です。前回と同じように最後の方に脇田先生のゼミに所属している学生たちのコメントもあるので、是非ご覧ください!
<共通質問>
1. 日本人学生と外国人留学生の違いを感じたことがありますか? もしあれば、どのような違いがあるでしょうか。 (例:授業態度、活動に対する積極性など)
個性の強さ、ユニークさ、学力、年齢などの幅の広さは、日本人学生よりも留学生の方が大きいですね。日本人学生の場合は、ある程度同じ層の学力で粒がそろって、傾向が似ていると思います。留学生の場合は、中国、韓国をはじめ、いろいろな国から留学しているので、本当に、個人差が大きいです。例えば、自分よりも常に周りに配慮する学生から、自分の主義や考えを常に主張して、周囲のことは一切考えない学生もいます。
東アジアからの留学生が多いので、授業態度は基本的に同じで、静かに話を聞いてくれます。しかし、留学生の方が自分の意見を発言することが多いと思います。
2. GCJの長所は何だと思いますか。
多くの学生が高い目標を掲げ、その目標に向かって努力するところです。もちろん全員がその目標を達成できるわけではありませんが、努力している姿が素晴らしいと思います。目標を失わずに、努力を続けていれば、必ずチャンスがあります。がんばりましょう。
3. 留学生に対して期待することや望むことはなんですか?
日本での留学生活を満喫して、日本人の友達をたくさんつくってほしいです。最初は、同じ国の友達同士が話しやすいと思いますが、日本人はもちろん他の国の友達をたくさん作りましょう。サークルや部活動に入って、一緒に活動するのがいいと思います。
また、ここ数年、夏休みや春休みになると、長期間、母国に帰国する学生が増えています。それを残念に思っています。長期休暇は授業がない時にしかできないことをやりましょう。テーマを決めて日本各地を旅行したり、部活動で合宿に参加したりするなど、長期の休みでしかできないことを「日本で」体験してほしいですね。
<個別質問>
授業の課題としてはもちろん、普段にも学生に授業外読書を推奨していらっしゃるですが、その理由は何ですか?
大学は学ぶところです。勉強は先生から教えてもらうことだけではなく、自分でするもので、知識や考える力を身につかないといけません。では、何で勉強したらいいのでしょうか。
最近、読んだ藤原和博の『本を読む人だけが手にするもの』の本の中に、なぜ読書が必要なのかについての話がありました。その本の中では、社会の構造変化が今までよりも読書する人間を必要としていると述べています。
20世紀の「成長社会」において、日本の教育は、たった1つの正解を早く正確に導き出し、パズルを誰よりも早く完成させられることを目指してきました。そこで、求められるのは「情報処理能力」で、決められた世界観の中でいち早く正解を導き出す力、「アタマの回転の速さ」でした。しかし、21世紀の「成熟社会」では、自らビジョンを打ち出して道を切り拓いていかねばなりません。そこで必要になるのは、一人一人が、自ら納得する解をつくり出すことです。正解は1つではなく、組み合わせ方は無限にあります。こうした能力を「情報編集能力」とその本の中では呼んでいます。
1冊の本には著者が長い時間をかけて調べたことが書かれています。著書は作家の「脳のかけら」であり、その脳のかけらを、読者は本を読むことで自分の脳につなげられると述べています。つまり、読書とは「他人の脳のかけら」を自分の脳につなげることだと藤原は言っています。読書によって、多くの「他人の脳のかけら」をつなぎ、自分の見方を広げ、自分なりの「納得解」をつくり出すことが求められているというのです。私は自分で考え、意見を述べることができるような学生を育てたいと思っています。ですから、みなさん、読書をしましょう。
<学生コメント>
パク・ソヒョン
先生の授業は読書活動が中心で、日本語教育を含めた日本語学などについて学びます。グループの中で1冊の本を選んで、一緒に読んで、その内容について話し合う機会が多いです。また、内容と関係があるテーマを選んで、レポートを書く時もあります。
もし、日本語の本を沢山読みたい方なら脇田先生の授業をお勧めしたいです。留学を始めてからは、主に会話をしながら日本語を学ぶのが大体だと思いますが、読解力と漢字の知識などを育てることも重要です。このような能力は本を読むことによって育つことができると思います。
ユン・ジミン
脇田先生の授業で印象深かったところは「本を読んで意見交換すること」でした。授業とは別として本を読んできてグループで話し合うプロセスで読書の楽しさを知るようになりました。同じ内容であっても人によって感じたことが異なることから他の意見も大切に聞く習慣が身に付けました。
また、先生は学生の意見を尊重してくださるので、気軽に意見を出してフィードバックがもらえることが非常に良いと思います。
脇田先生からのお手紙、どうでしたか? 非常に細かいところまで答えてくださって感謝します。所属ゼミ学生のコメントからも脇田先生は読書を読むことをすごく大事にしていることがわかります。このように各先生が大切にされていることについて関心を持ちながら読んでもらえると非常に良いと思います。さて、次回の特集企画は最終回。最後の先生は誰でしょうか! 是非、楽しみにしてください。