GC学部の学生が学内外へ情報発信するGC学会の機関誌「Cosmos」の記事をお届けします。
(GC学会は、GC学部の全ての学生と教員で構成された学会です。)
2026.03.24
GC学部での学びは、卒業後、社会のどのような場面で結実するのでしょうか。
今回、私たちは「エネルギー・メーカー・インフラ」という、GC学部の学生にとっては一見遠い存在に思われがちな、しかし世界の基盤を支える最前線の産業で活躍する3名の卒業生をお招きしました。卒業生の皆さんは、GC学部の強みをどこに感じ、複雑な交渉が必要な仕事の現場でどう武器にしてきたのでしょうか。学生時代の学びが社会に出てからどう生きるのか、それぞれの視点からリアルな姿を語っていただきました。
【卒業生ゲスト紹介】
1. 桜井 良太 様(GC学部1期生)
• 勤務先: 大手電機メーカー (現在デトロイト駐在中)
• 所属: 電子部品 海外営業
2. 井上 諒一 様(GC学部3期生)
• 勤務先: 三菱重工業株式会社
• 所属: エナジードメイン GTCC事業部
3. 北川 李帆子 様(GC学部9期生)
• 勤務先: アストモスエネルギー株式会社
• 担当: ガス船のオペレーション業務
■「なぜインフラ・メーカーなのか」
長田: 皆様、本日はお忙しい中ありがとうございます。語学や異文化理解を専門としたGC学部出身の皆様が、あえて技術的専門性が求められる「インフラ・メーカー」の世界を選ばれた理由からお聞かせください。
桜井:私は「日本の素晴らしい製品を海外に広めたい」という強い軸がありました。その中で日本電子部品メーカーの技術力・世界シェアの高さに惹かれ、最先端の技術が集まる米国でそれを浸透させたい・挑戦したいと考え、それが実現できるパナソニックへキャリアチェンジしました。
井上: 私は留学中に出会ったカンボジア人の留学生から「日本が作ったインフラがこの国の発展を支えている」と聞いた経験が大きいです。語学力を活かせる場として商社なども考えましたが、日本の技術力を直接届けるメーカーの海外営業に強い魅力を感じました。
北川:私は当初から志望が固まっていたわけではありません。ただ、周囲から「ガッツがあるからエネルギー業界が向いている」と背中を押され、調べるうちに国規模の課題を解決するスケールの大きさに惹かれました。体育会ラクロス部で培ったチームプレイの精神が、少数精鋭でアットホームな今の社風に合致したことも決め手です。
■「専門知識」の壁をどう乗り越えるか
藤江: 理系出身の技術者と対等に渡り合うのは、非常に苦労が多いのではないでしょうか。
井上: 最初は確かに猛勉強が必要でした。しかし、事務系は技術の「エキスパート」になる必要はありません。大切なのは、技術者と対話ができる程度の知識を身に着けることです。又、自分で調べられることは調べた上でどうしても分からない点は、「ここまで調べたのですが、ここから先を教えてください」と謙虚に、かつ主体的に聞く姿勢を徹底しました。
桜井: はい、私もそう思います。 そこで重要になるのが、一種の「可愛げ」や「懐に入る力」ですね。マナーを守り、相手の状況を慮った口調でリスペクトを示す。社内の先輩方は知識の宝庫ですから、彼らに「教えてあげたい」と思わせるコミュニケーションは、時に語学力以上に重要です。
藤江:「可愛げ」とは何でしょうか。
桜井:私自身、この「可愛げ」は国内国外の共通の概念としてあると思います。マナー・場面にふさわしい口調や語気を使うことから始まると感じます。
北川: 確かにそうですね(笑)。そして、エネルギー業界はマーケットが世界情勢に直結するので、常にニュースを取りに行く姿勢が求められます。私は社会人になってからNewsPicksやSNSを駆使して、受け身にならない情報収集を習慣化しました。
■ 語学の「その先」にある対人スキルと異文化理解
長田:言葉が通じるだけでは解決できない壁に直面したことはありますか?
北川: 痛感したのは「相手から情報を引き出す力」です。商談で相手にこちらの意図したことを言わせる交渉術は、単なる英会話を超えた高等なスキルです。また、例えばオーストラリアとの仕事では、定時後の連絡は一切つかないといった文化的なルールがあります。それを尊重した上で先回りして行動する「異文化への適応力」こそが、実務を動かします。
桜井: 語学の先にあるのは「対人スキル」ですね。インドは議論を好み、米国は会議で発言しない人は空気のように見られる。一方でアジアは本音と建前を使い分ける。こうした文化のグラデーションをリスペクトしつつ、自分の考えをしっかりと発信する。これがGC学部の真骨頂だと思います。
藤江:そうなのですね。「インド人はディスカッションが好き」というご意見、もっとお伺いしたいです。実は私の父もインドへの出張経験が多く、よく父から話を聞くのです。
桜井:インドは世界最大の人口を誇る国ということもあり、競争が激しく、その環境下のため議論を好むようになったという背景を伺ったことがあります。仕事のオフ時でもお喋り好きな方が多かった印象です。また話題の選び方という点では、現在駐在しているアメリカでは、なるべく政治や宗教の話などは話さないように心がけています。
座談会当日の様子1
■キャリアと生活:グローバルに働くということ
藤江:海外出張と駐在に与えられる役割の違いと、今後のプランやライフワーバランスについて詳しくお伺いしてみたいです。
桜井:出張は「短期間で課題解決に行く」といった感じです。一方で駐在は、日本の代表として長いスパンで責任を持つ感じですね。日本にいる時よりも関われる領域が広くて、仕事ばかりになってしまうこともあります(笑)。だからこそ、家族でも趣味でも仕事以外で大切なものをしっかりと持つことが大切かなと思っています。うちはよく旅行に行きます。キャリアに関しては、僕は北米駐在がずっと目標で、それが叶った段階なので、次はまだ模索中です。戦略を考え、人材育成・配置の様にチームとして結果を出せる仕組み作りに関わっていきたいなと考えています。
北川: 駐在経験はまだありませんが、短期の出張は目的がはっきりしている分、会いに行く人も決まっていて、ゴールがはっきりしています。出張に行くときに気をつけていることは、「会う人のこと」をしっかりと調べることです。例えばその人の経歴や自身との共通点などをとにかく調べてから行きます。4月からは海外の新規プロジェクトに参画しますが、「今しかできない経験」を優先してキャリアを積んでいきたいと考えています。
井上:私は今、育休を取得して育児に専念しています。会社の手厚いサポートもあり、キャリアと生活を両立できています。今後はマネジメント側への挑戦や、未経験の海外駐在にも手を挙げ、組織を動かす視点を養いたいですね。会社やポジションによると思いますが、海外駐在では現地の人たちが気持ちよく働いて、しっかりと利益が出るように組織を回すという、マネジメントが必要になることが多く、大事な役割だと思います。
■最後の一言
藤江:これから社会に出るGC学部の後輩たちへ、メッセージをお願いします。
井上: 留学や学生生活では「目についたものはすべてやる」精神で。仕事では行けないような遠い場所へ旅をするのも良いでしょう。その好奇心が、将来の糧になります。
北川: 社会人になると「仕事」という責任が伴います。自由な時間があるうちに、多様なコミュニティに飛び込み、自分の枠を超えた刺激を受けてください。
桜井: どんな苦境も「楽しむ」こと。そのポジティブな姿勢が、留学先でも、その先のキャリアでも、あなたを輝かせるはずです。最後に私が一番好きな弊社の創業者の言葉「人事を尽くして天命を待つ」を皆様に送らせて頂きます。
長田:皆様、非常に素敵なメッセージをいただきありがとうございます。 先輩方が切り拓いてこられた「語学の先にあるグローバル・キャリア」の重みを強く感じました。私たちも「当事者意識」を持ち、GC学部ならではの視点を強みに変えて、新しいステージへ踏み出したいと思います。
お忙しいところご協力いただきました、GC学部卒業生の桜井さん、井上さん、北川さん、本当にありがとうございました。
■まとめ:座談会から得た学びと私たちの抱負
今回の座談会を通じて、私たちが最も強く感じたのは、卒業生の皆様が持つ「圧倒的な当事者意識」です。語学を単なる知識として保持するのではなく、世界を動かすための「レバー」として使いこなし、同時に専門知識や組織運営、さらには「可愛げ」といった人間力を磨き続ける姿勢に、感銘を受けました。
長田の学び: 特に印象的だったのは、自分が相手に言わせたいことを言わせる力を磨くことの必要性です。ただ英語ができるだけでは足りず、ビジネスの上では自身の想いを形にするために取り組む必要があることを学びました。
藤江の学び: 語学力があれば海外で戦えるという甘い認識は、先輩方の「海外で生き抜くための泥臭い努力」の話によって打ち砕かれました。しかし同時に、GCでの学びを通じた「対人スキル」や「人への学び」が強みになるという言葉は、大きな自信となりました。
最後は学部生おなじみの「GCマーク」で記念撮影いたしました。
座談会当日の様子2
(執筆:長田 真依・藤江 奈々)