GC学部の学生が学内外へ情報発信するGC学会の機関誌「Cosmos」の記事をお届けします。
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2026.03.24
進学か、就職か。大学生活の中で、誰もが一度は立ち止まり、悩む問いではないでしょうか。学部時代に取り組んだことの分析から、大学院での健康広告研究へ。学部時代の言語やディスコースへの関心は、今の研究にもつながっているのでしょうか。今回の座談会では、GC学部を卒業後、大学院へ進学し、研究を続けてきた唐さんをお迎えし、ご自身の進路選択や研究テーマの変遷、そして学部時代の学びが現在にどのように生きているのかを伺いました。座談会を通して見えてきたのは、進学か、就職かという二択ではなく、GC学部での多様な学びの中で自分の関心を見出し、選び続けていく姿勢そのものの大切さでした。
【卒業生ゲスト紹介】
唐 子涵様(GC学部2024年卒業生)
• 進学先: 大阪大学大学院人文研究科 言語文化学専攻
■なぜ進学なのか
テイ: 唐先輩、修士論文の最終審査を目前に控えた大変お忙しい中、インタビューにご協力いただき、ありがとうございます。進路選択の岐路に立つ中で、どのような考えから進学という道を選ばれたのか、その背景についてお聞かせください。
唐: 将来的には中国に戻って働きたいと考えており、そのために進学を選びました。中国は今でも学歴を重視する傾向が強く、キャリアを考える上で修士号を持つことは大きな意味を持つと感じています。
テイ: 進学という決断は、比較的早い段階で決められたのでしょうか。それとも、かなり迷いながら時間をかけて考えられたのでしょうか。
唐: 結果的に見ると、それほど大きく迷ったという感覚はありません。学部1、2年生の頃は、進学と就職の両方を視野に入れながら考えていましたが、3年生になると周囲の学生も本格的に進路を意識し始め、二つを同時に準備するのは時間的にも精神的にも難しいと感じるようになりました。その中で、将来は中国に戻って働きたいという考えがはっきりし、両親と2、3回相談した上で、進学を選ぶ決断に至りました。
■進学を決めてから、何をどう準備したのか
テイ: 本格的に進学準備を始めたのは、いつ頃だったのでしょうか。
唐: 学部3年生の春に進学を決意し、秋頃から本格的に準備を始めました。研究計画書を書き始めると同時に、これまで学んできた分野とは異なる専門についても、基礎から学び直しました。そして、学部4年生の夏の入試で、大阪大学から合格の通知をいただきました。
テイ: 進学準備や受験のプロセスは、全体としてスムーズでしたか。それとも、特に大変だった点や印象に残っているエピソードはありますか。
唐: 正直に言うと、とても大変でした。当時は夏入試で大阪大学と名古屋大学を受験し、冬入試も選択肢として考えていましたが、もし夏入試で両方不合格だった場合は、就職に切り替える可能性も現実的に考えていました。それでも心のどこかで、「どちらか一校には必ず合格できるはずだ」という強い思いがありました。受験期間中は、通りかかる神社で合格祈願のお守りを何個も買ってしまったほどで、そのことが今でも印象に残っています。
■ 研究テーマはどのように形づくられたのか
テイ: 学部時代に学んだ言語やディスコースへの関心が、現在の研究テーマにつながっていると感じています。
唐: 批判的談話研究(Critical Discourse Studies)の手法を用いて、日本の健康関連広告を分析する研究に取り組んでいます。入学したのがちょうどコロナ禍の時期で、当時は社会全体で「健康」への関心が非常に高まっており、メディアや広告の中で「健康」がどのように語られているのかに強い問題意識を持つようになりました。日本には多くの健康広告がありますが、そこで強調される効果やイメージは、必ずしも実際の科学的根拠や使用結果と一致していません。なぜそのような差が生まれるのか、またその差はどのような言語表現によって作られているのかに関心を持ったことが、研究の出発点でした。
テイ: とても興味深い研究ですね。こうしたテーマは、学部時代から考えていたものなのでしょうか。それとも、大学院に進学してから見えてきた卒業論文のテーマでしょうか。
唐: このテーマを本格的に研究し始めたのは、大学院に進学してからです。学部時代に英語コースで履修したメディア関連の授業がきっかけで、卒業論文では、ネットニュースを対象に分析を行っていました。
■GC学部での学びは、現在の研究にどう活かしているのか
テイ: 健康広告とネットニュースって、違うテーマにも思えるのですが、今の研究につながる「共通点」はどこで見えてきたのでしょうか。
唐: 人文学系の分野は、もともと相互に関連している部分が多いと思います。私が感じているGC学部の特徴は、レポートや発表が多く、期末試験が比較的少ない点です。その分、学んだ知識を自分なりにどう活用するかが常に求められます。そうした学習の過程で、「できるだけ多様な視点を得たい」という意識を持って取り組んでいくと、自然と、自分の関心が重なり合う研究の焦点が見えてくるように感じます。
テイ: あらためて振り返ってみて、GC学部での学びの中で、大学院に進学してから「これは本当にありがたいスキルだった」と実感しているものはありますか。
唐: GC学部が大切にしている「Global」と「Communication」は、まさに大学院に進学してからその価値を実感するようになりました。語学力やコミュニケーション能力は、研究を進める上で欠かせない基盤だと感じています。大学院に入ってからは、ほぼ毎週のように研究の進捗を報告し、発表を行っています。その中で強く実感したのが、発表に必要な基礎的なスキルが、すでに学部時代にしっかり身についていたということです。日本語コースでは、1年次から発表を重視した授業が多く、そうした積み重ねによって、人前で自分の考えを整理し、的確に伝える力が自然と鍛えられていたと感じています。
テイ: 本当にそうですよね。1年生の頃は、発表が多かった記憶があります。
唐: もう一つ大きいのは、語学力と読解力です。現在の研究では、日本語文献よりも英語文献を読む割合の方が多くなっていますが、GC学部で培った語学力やアカデミックな読解力が大いに役立っています。特に1年次の必修科目、クリティカル・リーディングの授業で身につけた「読書の技術」、大学院で文献を読み進める上でも、今なお大きな支えになっています。
■最後の一言
テイ: GC学部の後輩たちへ、メッセージをお願いします。
唐: 今振り返ってみると、進学を単に学歴のためだけに考えるのでは、正直言って十分ではないと思います。大切なのは、自分が本当に興味を持てること、好きだと思えるものを見つけ出すことです。「Enjoy and Expressing」——学ぶことを楽しみ、自分を表現することを大切にしてほしいです。大学は、授業が終わったら帰宅して、また次の日に通うだけの場所ではありません。ぜひ多くのことを経験し、積極的に自分を表に出していってほしいと思います。
テイ: 唐先輩、貴重なメッセージをいただき、ありがとうございました。進学準備の具体的なプロセスや、大学院での経験を共有していただいたことで、進路に悩む私たちにとって、多くの示唆を得ることができました。
■まとめ: 座談会から得た学び
今回の座談会を通して、私が最も強く感じたのは、唐先輩が学部生の頃から「できるだけ多様な授業に触れ、自分の視野を広げたい」という意識を持って学びを選んでいたという点でした。
進路には常に多くの選択肢があり、「この道を選べば必ず正解」というものは存在しません。だからこそ、目の前の学びを通して自分の関心を深めていく姿勢が大切なのだと感じました。GC学部には、語学だけでなく、文学、哲学、社会学など、さまざまな分野へとつながる学びがあります。そしてその先には、大学院への進学も、社会へ出る道も開かれています。私自身も、GC学部での豊かな学びの中から、自分なりの関心を見つけ、進路を考えていきたいと思います。
最後は記念撮影いたしました。
座談会当日の様子
(執筆:鄭 文馨)